夏とKAT-TUNと7MEN侍と-「理想郷」に掛け持ちを覚悟した話

一昨年の夏は、静岡公演と横アリ公演。

昨年の夏は、宮城公演。

わたしにとって夏と言えばKAT-TUNで、

KAT-TUNは夏の季語だ。

うだるような暑さを感じると、コンサートが恋しくなる。

 

KAT-TUNのコンサートといえば

布の多い衣装!特効!火!火!火!

というのが世間の印象な気がするし、多くのかつん担はその全てを愛しているし、わたしも例に漏れず布の多い衣装と火と特効が大好きだ。

そんな「強い」コンサートにも関わらず、思いを馳せるとき、わたしは不思議と穏やかで優しい気持ちになる。

 

彼らは、ファンへの感謝や、会えた喜びや、未来への誓いを、言葉よりもパフォーマンスで示してくれる人たちだ。

優しくて、不器用で、愛おしい人たちだ。

 

今までのコンサートで受け取ったその不器用な優しさたちを思い出すと、キャンドルに火を灯すように、じんわりと心の中が暖かくなる。

 

彼らに会えない、ツアーのない夏が来るのが、辛くて寂しかった。

「この状況だから仕方ない」と頭では理解していても、寂しいことには変わりなくて。

今年の夏は何もないんだなあ…とこころにぽっかり穴が開いたみたいだった。

 

 

そんな中、気にかけていた…というより、もうすっかり虜になっていたジャニーズJr.・7MEN侍*1の単独公演*2が配信されるというニュースは、「希望の光」みたいに思えた。

 

入るタイミングを伺っていた*3ジュニアのファンクラブにも8/1に入会し、全公演分のチケットを買い、当日は夏休みをとり、その日を心待ちにした。

 

こうやって思い返すと、今年の8月ははじめからずっと彼らのことばかり考えていたみたいだ。

 

単独公演を初めて観たわたしは、7MEN侍というグループが、ずっと探し求めてきた「理想のアイドルグループ」なんじゃないかと思った。

 

結局8月中ずっとサマパラ改めサムパラから心が帰って来れず、どこかふわふわした心地で、毎日眠りが浅い感じがする…。まさに8月のすべてをあげてしまったのだ…(『罪と夏』最高だった…)

 

なんだか、「しあわせだったなあ…」と余韻に浸るというよりは、「こういうアイドル、大好きでしょ?」と言わんばかりのものを叩きつけられて、その衝撃を受け止めきれてないというか、なかなか処理しきれなかったと言った方が正しい気がする。

 

(そもそも好きな子たちだから多少贔屓目になってしまうところもあるとは思うが)選曲・構成・演出のどれをとっても、あまりにも「しっくりきて」しまった。

 

興奮冷めやらぬ状態で、鮮度重視で書いた記事では「理想郷」という言葉を使ったが、この言い方だとなんだか今のKAT-TUNに不満があるように聴こえるのでは…いやCD出してくれという不満はあるがそれとこれとは別)と読み返していて思ったので、本音を話しておこうと思う。

 

「理想郷」という言葉が出てきたのは、現在に対する不満ではなく、過去に対する未練からなのだと思う。

まだわたしは、大好きだったアイドルを引きずっているみたいだ。

というかこれから先も、この想いは消えなくて、度々「彼」の姿がちらつくんだろう。

誰かを責めるつもりはないし、もちろん辞めざるを得ない原因を作ったのは他の誰でもない本人だというのが前提で、

 

もしも「彼」も、自分のやりたいことをちゃんとメンバーに主張出来ていたら。

それを、メンバーも受け入れてくれていたら。

 

彼と彼らの未来は…現在は、違ったのかもしれない。

なんだかいまのJr.でグループ活動をしている子たちの姿を、とくに7MEN侍を追い始めてから、そんな風な考えが頭に浮かぶようになった。

 

当時の彼らをグループとして好きだった方からしたら不快かもしれない。でも当時「彼」だけを好きだったわたしは、どうしても考えてしまうのだ。

今思えば、タップとアクロとダンスが得意だった彼は、きっと誰よりも王道を走っていけそうなメンバーだった。皮肉にもそれ故に「王道でない」グループではある一定の時期までずっと息がしづらそうだった。

こんな風に考えるのは、今の彼らまで否定することになってしまうのではないか…と思い書くのをかなり迷った。でも誤解のないように言っておくと、わたしは今の、3人のKAT-TUNが最高だと思っている。

未練を語っても、今は変えられないことは分かっている。

でも、大好きだった「あの頃の彼」を心にそっと住まわせておくことくらいは許してほしい。

 

「過去は無かったことにしなくてもいい。全部含めて自分たちだから。」

 というメッセージを、彼らは何度も送ってくれる。なかなか言葉にはしないけれど、演出で、歌詞で伝えてくれる。そのことに何度も救われた。

「彼」を好きだった私だったからこそ、そんな3人のことが大好きになったんだと思う。

 

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7MEN侍というグループは、数あるJr.のグループの中でもどこか異彩を放っていて、キラキラ王道なアイドルグループではない。

本人たちもそれを自負しているのが伺えるし、個性派として進んでいく意志も感じる。きっとこの先も、王道にシフトチェンジすることはおそらくないだろう。

 

最年長の圧倒的センターの中村嶺亜くん

クロバットが得意な肉体派の菅田琳寧くん

ラップ担当で頭脳派の本髙克樹くん

透き通る歌声を持つ今野大輝くん

現役音大生で作詞作曲もこなす矢花黎くん

最年少ながらダンスや構成でリーダーシップを取る佐々木大光くん

 

これだけ個性豊かなメンバーが集まっているが、公演を通して誰一人として、息苦しそうじゃなかった。みんなのびのびとしていた。

少なくとも、わたしにはそう見えた。 

 

というのも、全員が個性的に自分の好きなことややりたいことをしているけれど、その個性は「グループの振り幅」となって7MEN侍というグループに還元され、うまく調和しているように見えたのだ。

 

例えば、矢花君のソロコーナー。

自身が作詞作曲したソロ曲はジャニーズの歴史すら変えてしまいそうなロックナンバーで、その世界観に引き込まれた。

見ている人を圧倒するような世界観を作り出した矢花君自身ももちろんすごいけれど、その世界観を受け入れて、演奏で一緒に表現するメンバーもすごいと思った。

 

一方でソロコーナーで憧れの先輩の王道アイドルソング*4を披露した琳寧君。

彼が振付や構成を担当したKAT-TUNの『DANGER』は、「本家」を知っているわたしから言わせてもらうと、あまりにも踊りすぎだった。もちろん褒め言葉だ。

琳寧君自身もインタビューで「メンバーには頑張ってめちゃめちゃ踊ってもらった」という旨の発言をしている。歌割りも秀逸で、6人全員に見せ場のある構成だった。

これを考えた琳寧君は本当にすごいし、それにちゃんとついていくメンバーもすごい。

 

このグループは、どんな楽器でも弾きこなすアーティスト肌のメンバーのやりたいことも、自称「ジャニオタ」のジャニーズ大好きなメンバーのやりたいことも、叶えられるグループなんだと思った。

それってつまり、個性は強くて得意分野もバラバラだけど、メンバー全員1人残らず好きなこととかやりたいことをして、でも誰も置いていかないで、みんなで一緒に進んでいけるグループなのかもしれない。だとしたら、わたしにとっては夢みたいに理想にぴったりのグループなのだ。

 

YouTubeの密着での嶺亜君のこの言葉に、7MEN侍というグループの魅力が詰まっているように感じた。

 

youtu.be

「俺たちはバンドが好きだし見せたいけど、でもやっぱりアイドルなんで、そこは絶対に捨てたくない」

 

正直公演を見る前は、かわいいかわいいみんなの、歌っている姿が観られればそれで満足だと思っていたし、7MEN侍のことは大好きだったけれど、ここまで重たい感情は無かった。

 

でも今は「理想郷」とまで思えるこのグループに出会えて、本当に良かったと思っている。数あるグループのなかで、好きになったのがこの子たちで本当に良かった。

 

最低の夏に、最高の思い出をありがとう。

 

永遠や一生を信じていないけれど、嶺亜君の「一生応援お願いします!」という言葉に、「一生」を誓いたくなるような夏だった。

 

そしてこれを書いていて、わたしの「好き」のすべては繋がっているから、やっぱり過去は切り捨てなくていいんだなと思えた。

 

まだまだKAT-TUNという船を降りるつもりはない。

でも、欲張って「理想郷」も追いかけていいんじゃないかと思い始めている。

 

 

 

*1:正式には7 MEN 侍。便宜上文中ではスペースを省きます。

*2:Summer Paradise 2020

*3:本当は8/10(矢花君の誕生日)か、8/27(本髙君の入所日)に入りたかったけど、サマパラへの募る思いとABC座の申し込み締め切りの関係で8/1付で入会しました。

*4:Hey!Say!JUMP・山田くんの『Oh! my darling』